思い出を抱いて

2011年9月17日の朝、めざましテレビのエンタメの時間に、帝国劇場の舞台に上がり記者に囲まれた5人の男の子達のことを覚えている。

中でも印象的だったのは、当時わずか11歳だったとっても可愛らしい、天使みたいな男の子だった。朝ご飯のトーストを食べる手が止まり、「お母さん!この子私と同い年だよ!?」と母親に訴えかけた。正確に言うとマリウスの年齢は私の一つ上だったが、アイドル=嵐みたいなかっこいいお兄さん達というイメージを持っていた私にとって、同世代の男の子がジャニーズのアイドルとしてデビューするのは、衝撃的な出来事だった。

 

それから随分時は過ぎ、高校生になった私は再びSexyZoneと出会った。

あの日のめざましテレビの記憶で止まっていた男の子は驚くほど身長が伸び、あの頃の面影を残しながら幼さが抜けた端正な顔立ちの青年となっていた。

そこから今日までの約6年間、数えきれないほどの思い出を貰った。

 

初めて行ったSexyZoneのライブで、アリトロでこちらに来たマリウスはまるでディズニープリンスのようで、そのあまりの美しさに手を振ることも忘れて口を開けて見つめてしまった。丁度オランジーナのCMが発表されたタイミングで、オランジーナ片手に手を振るファンを見つけたマリちゃんがあっ!と驚いた後にとっても嬉しそうな、あのまあるく口角の上がったハート型の笑顔を見せたことを昨日のように覚えている。

大学に入って第二言語を選択した時、迷うことなくドイツ語を選んだ。マリウスが母国語とする言葉を、彼の紡ぐ言葉を少しでも多く理解したいと思ったからだった。名詞の性の壁にぶち当たりドイツ語を理解したいという私の夢は儚く崩れ去ったが、それと同時にマルチリンガルとして多数の言語を操り、お仕事にも勉強にも活かすマリちゃんのことを心底凄いと思った。

マリちゃんがジェンダー問題について発信してくれていたことをきっかけに、大学でジェンダー論の講義を取った。それがとても面白くて自分でも色々と調べるようになり、自分が感じていたえも言われぬ窮屈さや息苦しさ、苛立ちが明確な言葉を持って表されていて、それに少し救われた。今年、ドーム公演までに完成させねばと死に物狂いで書き上げた卒業論文も、ジェンダーに関する内容を選択した。

POP×STEPのライブ後のトーク配信で、風磨くんとマリウスが二人になった時、それまでメンバーそれぞれに話を聞いていた風磨くんにマリちゃんが「ねえ風磨くんは?」と聞くマリちゃんの視野の広さと優しさが大好きだった。普段MCの役割で、本当に大切な時は真っ直ぐ言葉を伝えてくれることもあるけれど、でもやっぱり素直じゃなくて自分の気持ちを中々教えてくれない風磨くんに、風磨くんは?っていつも思ってるよ、と言ってくれるそんな存在がグループにいること、それがグループの末っ子で風磨くんを本当にお兄ちゃんみたいに慕ってるマリウスなことが本当に嬉しかった。

 

マリちゃんから貰ったものは、本当にたくさんある。

卒業が発表された時、動画の中で「風磨くんはどう?」と聞いてくれたマリウスは2年前のポプステで風磨くんに話を聞いてくれた時と全く変わっていなかった。大学の勉強をしていると自然とマリちゃんのことを思い出したし、マリちゃんがライブで見せてくれた笑顔は思い出すだけで辛い気持ちも吹っ飛ぶ気がした。全部全部全部が大切な思い出で、私の大切な宝物。

マリちゃんのその大きな愛は、手のひらから溢れんばかりに私達に真っ直ぐ優しく届いて、新しい世界を見せてくれた。その姿は本当に頼もしくて、だから今日、マリちゃんがSexyZoneから旅立つ選択をしたことが、誇らしくすらある。

 

でもやっぱり寂しい。寂しくて堪らない。行かないでと思ってしまう。マリちゃんから貰ったものが沢山あるから、それだけマリちゃんを思い出すことも多くて、その度に恋しくて寂しくて堪らなかった。

 

ただ、SexyZoneはやっぱり、寂しい思い出だけで終わらせてくれなかった。発表の動画の中でも、終わりにインスタ開設、5人旅、5人のドーム、5人のカウコンと、嬉しいお知らせをたくさん出してくれて、それでそこまで号泣していた自分がようやく少し落ち着いて、勇気を出してTwitterを開いて見たら、そこではもうSexyZoneの初インスタライブが始まり、終わっていた。「いや待って!?w」と、SexyZoneから置いてけぼりにされるこの気持ちに懐かしさを覚えながら、「あーやっぱりSexyZoneって楽しい!」と心底思った。

TLに流れてきたインスタライブの5人の姿は、特典映像やFC動画で見た、はちゃめちゃで私の大好きなSexyZoneの姿そのままで、それを見たら、寂しくはあれど大丈夫だな、と思った。

この強く聡明で、とにかく優しい5人の姿は、見える形が変わってもその本質は変わらないと、そう思った。それはきっと今まで5人が真摯に気持ちを伝え続けてきたからで、その思い出が、私の中にもあるからで。だから、マリウスの卒業を受け止めることが出来たし、5人の写真に笑顔になりながらそれと同じくらい寂しいと声に出せている。「人は悲しい気持ちのまま、楽しくもなれる」と、これもSexyZoneから学んだことだった。本当に、SexyZoneから大切なものを沢山貰っている。

 

SexyZoneを好きになってから、健人くんに、風磨くんに、勝利くんに、聡ちゃんに、マリちゃんに、沢山の思い出を貰った。一つ自分の中のエピソードを思い起こせば、そこには必ずSexyZoneもいる。

卒業発表されてからの5日間、また沢山の思い出を5人から貰った。インスタに投稿された写真はどれも楽しそうで、その一枚一枚に、彼らの思い出が詰まっている。ジャニーズwebに綴られた彼らの言葉では、私たちの持つのと同じ、いやきっとそれ以上の寂しさを伝えてくれた。

今日、またきっと忘れられない大切な思い出を一つ貰う。

またきっと、今以上に5人のことが大好きになる。

正直、明日を迎えた後のことは分からない。でもきっと、その思い出を抱いて、勇気を貰う日があるんだと思う。

 

マリちゃんの4人に向ける大きな愛情が大好きだった。4人の、マリちゃんに向ける優しい眼差しが大好きだった。

ドームという夢から覚めて、次に見る夢は、また5人が集まる姿だ。

 

マリウス、大好きだよ。歌声も、ダンスも、言葉も、私達に見せてくれる全てが好きだった。私も、マリちゃんの健康と幸せを願っているよ。マリちゃんの夢が叶うよう、祈っているよ。沢山の思い出をくれて、本当にありがとう。一つ願うなら、また、いつかどこかで、マリちゃんと、SexyZone5人との思い出ができたらいいな。

これからマリちゃんが歩む旅路が、幸せで満ち溢れたものでありますように。

 

Auf Wiedersehe!!